2020/08/21
【バックナンバー】
さて今回は、前回と同じお題・適度な力加減を施術者目線で書いていきます。
リラクゼーションサロンの基本の力加減は、“気持ちいいと感じる範囲で、後々残らない”が基本ライン。その範囲で収めるための基礎知識のような内容です。
長くなりそうなので、ここでの力加減は指や手のひらなど、ほぐす要素に限定します。ストレッチはまたの機会に(*´ω`*)。
①まずは自分の基本の力加減がどのくらいかを知りましょう
ふれるだけ | 弱い | ふつう | 強い | もはや攻撃Σ( ̄ロ ̄lll) | |
---|---|---|---|---|---|
指 | ? | ? | ? | ? | ? |
てのひら | ? | ? | ? | ? | ? |
これは誰かに教えてもらわないと分からない部分です。
人数のいるサロンで働いている場合はセラピスト同士で揉んだり、聞きやすいお客さまに聞いてみたり、自分を指名してくださるお客さまの傾向なんかで判断できると思います。
この基本の力加減は最初に働いたお店でどんなタイプの方を多く揉んできたかによります。
例えば、私であれば、20年近く前のサウナでベースが作られているので、
「痛いくらいじゃないと効かへんわ」
「自分、小さいなぁ。強やってやー」
「足らんなぁ」
「米俵背負ってくれてもいいよ」
こんな人たちに鍛えられております(^^;
153cm、41kgほどのカラダです。この子供サイズのカラダで、望まれる“効いた感”を与えるために、指は強くなりましたね。基本の力加減は、指は強いけど、幅広い圧(手掌圧迫など)は指の圧と比べてさほど強くない(体重なり)、となります。
ふれるだけ | 弱い | ふつう | 強い | もはや攻撃Σ( ̄ロ ̄lll) | |
---|---|---|---|---|---|
指 |
〇 |
◎ | 〇 | ||
てのひら | 〇 | ◎ | 〇 |
「んー、もう少し数値化したい…」リアルに体重計を押してみました。
片親指 | 14kg |
---|---|
両親指を重ねて | 18.5kg |
両親指で左右同時に | 全体で25kg |
片掌 | 28.5kg |
両掌を重ねて | 34.5kg |
両掌で左右同時に | 全体で36kg |
これが、私の力加減のMax数値です。
実際には、親指といっても寝かせてみたり立ててみたり、手のひらにしてもひら全体を使ったり手根に寄せたりします。
数値化すると、大した圧でないことが伝わるかと思いますが、背中を両掌で左右同時に押す際(パパの背中に乗る子供をご想像ください…) 以外は、足らないといわれることは本当に稀です。
強さ=体格とは限らない、ということですね。
どの幅に、どれくらい体重を乗せられるか。
※力で押すは論外です
ところで、当時のサウナのお客さま方というのは、よく飲み、よく遊び、よく働く人たちが多かった様に思います。お酒を抜くためにサウナで汗を流す人たち。メタボという言葉がまだ存在しなかったので、100kgオーバー!?と思われるお腹の大きな方、多かったです(^^; カラダの感覚としては相当鈍化している方が多かったはず。そりゃ、もっともっととなります。
今考えると、宜しくないなーと思いますが、リラクゼーション=サービス業。求められるものに応える能力が商品と考えると、その時、その場所では「それが最善」なんですよね。
②次に筋肉の強度のことを知りましょう
同じひとりのカラダの中でも、各パーツごとに筋肉の状態は違います。
日々酷使している筋肉 | 強度があり、よく力を発揮する反面、疲労時や冷えたときの固まり方もきつくなります。炎症を起こしている場合を除き、他の部分より強い圧でないと届きません。 |
---|---|
日頃あまり使われていない筋肉 | 強度があまりない、か弱い筋肉です。筋繊維が破壊されやすいので、やさしく触ってあげましょう。 |
現場仕事や重い荷物を持つなど、筋肉を動かしながら酷使している場合、その部分は発達し、筋強度も強くなります。
一方、筋肉を動かすことなく負担がかかって疲労した筋肉(デスクワークの方の首肩など)は、細い筋繊維がひたすら耐えている状態になります。その筋だけが異様に強く、この部分だけ強圧を好み、他の部分はよわよわさん(日頃使われていない筋肉)、という場合が多いです。ホステスさんなんかもこのタイプが多いです。
③触られた時の感覚を知りましょう
過敏になっている部分 | ・くすぐったい ・弱圧でも痛い(炎症) |
---|---|
鈍化している部分 | ・物足りない ・感じない |
これに関しては、あくまで傾向として、という範囲内です。どちらも筋肉の過緊張(つまり、触って固い)はうかがえますが、両方、一種の麻痺状態です。
炎症を起こしている場合は、無理をせず、拮抗筋(反対の動きをする際に使う筋肉)を緩めたりゆっくりストレッチすることでカバーします。
くすぐったい場合は、可能な限り幅広く(指ではなく手のひらなど)、不快感の無いようにさわってあげた方がいいですが、本人が嫌がればやめましょう。
究極の麻痺「鈍化」・・・
いくら押しても利かないという部分を本人に気のすむまでやると、確実に筋繊維を破壊します。
…が、時に、いえ、そこそこの頻度で、それを望まれます。
強さを望まれる場合、筋繊維を横切る(ゴリゴリする)のではなく、指を動かさずにただただ体重を乗せる(持続圧)ようにすると、比較的破壊は防げます。
少々揉み返したとしても、揉み返しが治まる(筋繊維の修復が完了する)頃にはスッキリしていたりします。ここは、お客さま側のカラダへの理解によりますので、 「次の日に残るかもしれない」と、ちゃんと説明をして、可能な限りは押してあげましょう。
※たまに受ける分にはいいかと思いますが、ゴリゴリマッサージをずーーーっと繰り返すと、マッサージに耐える為だけの、無駄に固い筋肉が育ちます(;´Д`)
このタイプ、長年強圧の施術を受け続けてこられた方や、常に交感神経優位な状態が続いている場合に多いのですが、実際にはこういう方々が上客さまだったりします。
この方々のカラダを少しずつ少しずつ、いい状態に変えていってあげるためには、まず、次来てもらえることなんですね。また足を運んでもらうためには、満足感を上げなければいけない。
時に心を鬼( ゚Д゚)にして、まずは“満たすが先”です。
④これらをもとに、いざ施術へ・・・
まずはお客さまの情報収集が必要ですね(^^)
日頃多い姿勢や動作、運動経験、マッサージを受ける頻度など、カラダの状態を知りましょう。そうして、その情報をもとに、自分の力加減を当てはめていきます。
INORIさんでは必ずどのコースでも足湯をセットにしているのですが、これはお客さまとお話し(プチカウンセリング)するための大切な時間です。
この時間のあるなしで、雲泥の差が出ます。
その上で、いざ施術。
「私は強めだから、ここは弱くしないとダメかもしれない。」
「私は弱めだから、ここは足りないかもしれない。」
不安に思ったタイミングで、お客さまが起きておられたら聞いてみましょう。
けれど、あまりに聞かれると煩わしいです。
- カラダに力が入らないか?
- 眉間にしわが寄らないか?
- 居心地悪そうにカラダを捩ったりしないか?
判断できる要素はたくさんあります。
後は、できるだけ言いやすい雰囲気を作ってあげましょう☆
生真面目なセラピストさんだと、考え過ぎて触れなくなってしまうかもしれませんが、気を負うのではなく、迷ったら「この人の“気持ちいい”はどこだろう?」です。
そして、時に失敗もしてください。
痛い思いをさせた、物足りないと不機嫌にさせた、お客さまを怒らせた…。
その時のお客さまには大変申し訳ないことではありますが、“お勉強させていただく”です。
成功例よりも失敗例の方が100倍も価値があります。
そして、それを決して無駄にしないこと。
経験年数分、私もたくさんたくさん失敗しています。
申し訳ない思いも、自信喪失した時期も、一通りは経験しています。
でもね、それが財産なの(*´ω`*)
⑤コミュニケーション能力と経験値
ここまで読み進めて、どう思われましたか?
ひとりのカラダの中でも適度な力加減がバラバラ。
そこにお客さまの好みが加わります。
この中でパーフェクト(その時その人にとって100%満足)な施術をするのは、とてもとても難しいこと。不可能なことかもしれない。
だからこそ “2000人揉んで一人前” 経験がものをいう部分が欠かせないんですね。
習った=完成ではなく、そこからがスタートです。習って満足なセラピスト、増えてませんか…?と、個人的には思っています。
自分の中で“症例”を増やし、引き出しを増やしていくことと、お客さまのカラダ情報や好みを引き出せるコミュニケーション能力を磨くこと。
まだ始めて間もないセラピストでも、そもそも触られるだけで気もちいいという部分もありますし、持って生まれたセンス、性格の相性もあります。
教えられたことを淡々とこなすだけで100人中10人くらいは満足してくれます。
けれどそれでは素人と同じ。
私たちはプロです。
お代をいただくからには、10分の1の満足ではダメなんです。
価格に見合った満足はリピートに繋がります。
価格以上の満足は指名に繋がります。
指名をいただくと、モチベーションが上がるのでいい仕事をします。
喜んでもらえるともっと応えたくなります。
どうか、選ばれるセラピストになってください。目指してください。
ちなみにINORIさんは、全員が選ばれるセラピストになり、ぐるっと一周して「指名しなくても全員レベル高い!」となりたいですし、「選ばれるサロン」に成長させていきたいです。
これ、ホンキで思っています( *´艸`)
いかがだったでしょうか?
同業の方だと「そうそう」という部分もあれば「いや、そこは違う」と突っ込みたい部分もあったと思いますが、経験の浅いセラピストさん、現在施術に迷いのあるセラピストさんにとっては、参考になる箇所は多少あるかと思います。
お客さまで読んでくださった方かおられたら(長い文章にお付き合いいただきありがとうございましたm(_ _)m)、いいお店、いいセラピスト選びの参考にはしていただけるかと思います。
ご精読ありがとうございました☆
それではまた(*´ω`*)